ISDN回線での着信がうまくいかない-1.結線

ISDN設定のお話です。

会社のVSX/HDXは一部、外部とのやり取りの為にISDNのモジュールが取り付けてあります。

設置した状態を保っている時は特に問題は起こりませんが、

・ISDNケーブルを抜いてしまった
・移設した
など、設置状況に変化があったとき「つながらない」などのトラブルが発生します。

ISDN設定の基本的なところから理解し、トラブルの切り分けを行っていきます。

結線
基本的には下記の順に接続ですね。

—ISDN回線—[RJ11]{DSU}[RJ-45]—[RJ-45]{QBRIモジュール&HDX}
—はケーブル
[xxx]はコネクタ形状
{xxx}は機器

※VSXとQBRIモジュール、HDXとQBRIモジュールの接続はモデルによって形状が違いますね。ケーブル結線の時もあれば、モジュールを本体に差し込んで取り付けるタイプもあります。

※補足
BRI =ISDNインターフェイスの規格。
INS(INS64) =NTTのISDN回線(64Kbps×2の128Kbps回線+Dチャネル(16Kbps))の商品名。正確にはINSネット64という呼称。

※ポリコムのいうところの・・・
BRIインターフェイス =INS回線1本収容可能な差し込み口。
QBRIモジュール =BRIを4本差し込みできるモジュール(QBRI→Quad BRI)

※モデル別のINS対応可否(Aモデル、A無しモデルの見分け方はこちら
V500→ BRIモデルは、INS回線を1本だけ収容可能。BRIモデルでない機種はINS対応不可。
V700→ IP専用モデルですね。INS対応不可。
VSX3000→ QBRIモデルは、INS回線を4本収容可能。QBRIモデルでない機種はINS対応不可。
VSX5000→ オプションのQBRIモジュールとVSX本体を専用ケーブルで接続。
VSX6000→ INS対応不可。
VSX6000A→ オプションのQBRIモジュールとVSX本体を専用ケーブルで接続可能。(発売当初はINS非対応でしたが、Ver8.5.3からサポート)
VSX7000→ オプションのQBRIモジュールを、サブウーハー背面に差し込んで取り付け。
VSX7000s→ オプションのQBRIモジュールを、サブウーハー背面に差し込んで取り付け。
VSX7000e→ オプションのQBRIモジュールを、本体背面に差し込んで取り付け。
VSX8000→ オプションのQBRIモジュールを、本体背面に差し込んで取り付け。

・VSX5000とVSX6000AのQBRIモジュールは同じものです。
・VSX7000とVSX7000sのQBRIは形状は同じですが流用可能かは未確認。
・VSX7000eとVSX8000のQBRIモジュールは同じものです。

※ただし、発売時期が後期のQBRIモジュールは、VSXバージョン8.7.1以降でないと動作しません。(2008年7月にQBRIの仕様変更有り)

HDX4000→ オプションのQBRIモジュールとHDX本体を専用ケーブルで接続。
HDX4500→ INS対応不可。
HDX6000→ INS対応不可。
HDX7000→ オプションのQBRIモジュールとHDX本体を専用ケーブルで接続。
HDX8000→ オプションのQBRIモジュールとHDX本体を専用ケーブルで接続。
HDX9000→ オプションのQBRIモジュールを、本体背面に差し込んで取り付け。

・HDX4000/HDX7000/HDX8000のQBRIモジュールは同じものです。

INS設定はVSX/HDX本体が持つので、モジュール自体の差し替えは可能ですね。(モジュールは設定値を記憶しない)

QBRIを認識していないVSXはINSの設定項目自体出てきません。
モジュールを追加すると設定項目が出てくるようになります。
※ちなみにGroupシリーズは全てINS非対応です。

結線時のトラブル
トラブル対応の基本は「下流から」ですね。

●まずは部屋に引き込んでいるISDN回線のチェックですね。
RJ11の細い電話線ですので、会議室の椅子に踏まれまくって断線している可能性があるのでそこをチェック。

●次にDSUのチェック、DSUはチェック用のLEDランプが付いていることが多いので点灯を確かめます。
ターミネーション(TRというDIPスイッチ)がOFFになっていないか?(ONが正しい)、回線極性の設定(ノーマル、リバースのDIPスイッチ NOR/RVS)をこちこちと切り替えているうちに光ることも多々あります。
このチェック用のLEDはISDN機器が接続されていないと光らないことが多いので、全て結線されている状態でチェックします。
VSX/HDXがINS回線を認識していない時は光らない(モジュールに電源供給されていない時は光らない)事もあるので、VSX/HDXの再起動も試してみます。
DSUにはRJ-45の差し込み口が2つ付いていることがありますが、ビデオ会議に接続するときは1つしか使用してはいけません。(どちらの口でも良い)
つまりQBRIモジュールにINS4回線を差し込む場合は、ISN回線4本と、DSU4つと、DSUからQBRI接続に使用するINSケーブル(RJ-45)が4本必要です。
ちなみにNTTに回線のチェックを依頼すると、DSUまでの折り返しテストになります。
「DSUまでは問題ないですよ(問題ありますよ)」ということがチェックしてもらえます。
そこから後ろ(機器方向)の問題はNTTの責任範囲外になります。
このDSUまでがこちら側で準備しないといけない環境になりS/T点以降、RJ-45ケーブルを含め、ポリコムの付属品を使用します。

●次にDSUとQBRIモジュールの結線を確認します
ポリコムのQBRIモジュールを購入した時に付いてくる、DSUとQBRIをつなぐ [RJ-45]—[RJ-45] ケーブルですが、ピンアサインはストレートなのでEthernetケーブルと同じらしいのですが、ポリコムの付属ケーブルはフェライトコアによるノイズ対策が施されているのでLANケーブルでの代用はしないでくださいね(非推奨)とのことでした。

●最後にQBRIモジュールとVSX/HDX本体の取り付けチェックです
QBRIモジュールがボックス型の物は「ポリコムの専用ケーブル」で本体と接続します。
この専用ケーブルはRJ-45に似たコネクターなのですが、間違ってLANケーブル等を使用しないよう、差し込みにポッチが付いていてLANケーブルが挿さらないようになっています。
VSX7000(VSX7000s)のQBRIモジュールはサブウーハーの裏側にモジュール自体が挿さっているのですが、このモジュールの固定方法はネジになっています。
しっかりと念入りにネジを締めてしまうと、モジュール自体をVSXが認識しなくなります。
ちょっと緩いかな?くらいが良いそうです。
QBRIモジュールにも、差し込み口単位で確認用のLEDが付いていますので点灯をチェックします。
LANインターフェイスのリンクアップLED、アクセスランプLEDと同じような2つのLEDがありますので、2つとも点灯していることを確認します。

「ISDN回線での着信がうまくいかない-2.設定」へ続きます。